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投資情報サイト東京IPO TactiXコラム


第5回「TactiXの使い方、空売り編」


やや間が空いてしまいましたが、皆さん如何お過ごしでしょうか?

今回はTactiXの使い方、空売り編です。
前回は、機関投資家の買いパターンについて触れましたが今度は逆の売りパターンです。

実はこちらの方が、戦略という意味では確実性が高いです。

何故なら、「これ以上買う or 買わない」という判断はフレキシブルですが、「売る」と決めた判断は簡単に覆らないからです。売り始めれば、多くの場合は一方通行で持ち株を完全に売却するか、少なくともベンチマーク分まではウェイトを落とすことが一般的でしょう。

極端な話、売る時っていうのは買いの背景にあったものがなくなったり、市況が企業の利益構造にそぐわなくなった時なので、売りたくて仕方がないのです。

一日の出来高よりも多い株数を大量保有報告していれば、そのポジションを落とす際にはそれなりのインパクトが発生しますがそれにも関わらず売り続けなければならないのです。

「そんなに急いで売る必要があるのか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが(まあ私も思うのですが)、買う時も売るときもFM自身の判断がマーケットで一番早いわけではないので、「ライバルが売り始める前に」多少のインパクトが出ても一刻も早く売り切りたいのが投資家の心理です。

下げ始めた株をゆっくり売っても問題はないのでしょうけど、ロスカットルール等に引っ掛かれば無条件に売らされるため、「それならチャッチャと売ってしまえ」と思うのかもしれません。

もちろん、アセットアロケーションの観点から一時的にファンドを縮小しなければならない場合や単にちょこっと銘柄を入れ替えただけだとインパクトは限定的です。

また、自分が大量に売りたいと思っているところに、大量に買いたい人がいて結果的にマーケットインパクトを出さないでポジションを解消することもあるでしょう。

しかし、それらのイレギュラー事象を鑑みても、大量のポジションを外す時はインパクトを隠すことは困難なことが多いです。

しかもインパクトが出た場合は、2通りの戦略が取れます。一緒に売るか、売り切ったところのリバウンドを狙うかです。

この戦略の難しいところは、買いの場合は大量保有報告書の提出が戦略のトリガーになりますが、売りの場合は機関投資家の行動が事後的にしか確認できないことでしょう。

売りに乗っていくならTOPIXや日経平均の動きに関わらず5分足で一方通行の動きになっている銘柄を短期的に狙うか、中期的な下落トレンドに転じた銘柄を狙うことをお奨めします。数日で値幅を取ろうと思うと、売りが止まってリバウンドでやられることが多いかもしれません。

リバウンドで狙うなら、大陰線が出た翌日に前日引値近辺で始まったものの売りが出ないところでしょうか。経験則ですが、インパクトが出る銘柄は、丁寧に寄付から引けまで売ることが多いように思います。もちろん、そうでないことも多いです。いきなり動きが変わったら、そこは大人しく手仕舞いしましょう。

TactiXを用いて機関投資家の買いを利用することが、大量保有をトリガーとして瞬発力が問われる短距離走なら売りを利用することは、じーっとマーケットを見て「来た!」と反応する釣りに近いものがあるかもしれませんね。

短期連載のはずが足掛け3ヶ月となってしまいました。
基本的な話ばかりになってしまいましたが、今後はより実践的な内容に触れる機会があれば良いですね。


某運用会社日本株トレーダー 鰊



第1回 TactiXって?

第2回 そもそも大量保有報告書って何?

第3回 大量保有報告書を提出する機関投資家の分類

第4回 TactiXで買いのタイミングを計れるのか?
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